神戸地方裁判所 平成7年(行ウ)7号 判決 1998年3月04日
原告(甲・乙事件)
甲野一郎(仮名)
同(甲事件)
甲野二郎(仮名)
右原告甲野二郎法定代理人親権者父
甲野太郎(仮名)
同母
甲野花子(仮名)
原告(甲事件)
乙山春夫(仮名)
同
乙山夏夫(仮名)
同
乙山秋夫(仮名)
同(乙事件)
丙川冬夫(仮名)
右原告六名訴訟代理人弁護士
瀬戸則夫
同
岩佐嘉彦
同
工藤展久
右瀬戸訴訟復代理人弁護士
岩本朗
同
小久保哲郎
同
小山操子
被告(甲・乙事件)
西宮市教育委員会
右代表者教育委員長
茂純子
右訴訟代理人弁護士
俵正市
同
小川洋一
右俵訴訟復代理人弁護士
井川一裕
主文
一 被告が、平成五年二月二四日及び同年三月四日付けで、別表<1>段記載の原告らに対してした同段記載の各文書に記録された個人情報の非開示処分(ただし、平成六年一二月一三日付けの決定により一部取り消された後のもの)のうち、次の情報を非開示とした部分を取り消す。
1 別表B及びFの指導要録のうち、学籍に関する記録並びに指導に関する記録中の「各教科の学習の記録」欄の「評定」欄、「特別活動の記録」欄、「行動および性格の記録」欄の「評定」欄及び「出欠の記録」欄の各欄に記録されたもの
2 別表Bの指導要録のうち、指導に関する記録中の「各教科の学習の記録」欄の「観点別学習状況」欄に記録されたもの
3 別表Fの指導要録のうち、指導に関する記録中の「各教科の学習の記録」欄の「観点別学習記録」欄に記録されたもの
4 別表D、E及びFの指導要録のうち、指導に関する記録中の「標準検査の記録」欄の各欄に記録されたもの
5 別表Gの調査書のうち、「身体の記録」欄、「スポーツテスト」欄の「記録・得点」欄、「出欠の記録」欄の「欠席日数」欄、「各教科の学習の評定の記録」欄の数字欄の各欄に記録されたもの
二 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用は、これを二分し、その一を被告の負担とし、その余を原告らの負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告が、平成五年二月二四日及び同年三月四日付けで、原告らに対してした別表<1>段に記載の各文書に記録された個人情報の非開示処分(ただし、平成六年一二月一三日付けの決定により一部取り消された後のもの)をいずれも取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 小学校児童指導要録及び中学校生徒指導要録(以下、両者を単に「指導要録」という。)並びに兵庫県公立高等学校入学者選抜資料に用いられる調査書(以下、単に「調査書」という。)は、いずれも、西宮市公文書公開条例が適用される公文書であり、かつ、西宮市個人情報保護条例(以下「本件条例」という。)二条五号にいう「個人情報ファイル」である。
2 原告らは、本件条例一二条一項に基づき、被告(本件条例及び西宮市公文書公開条例所定の「実施機関」である。)に対し、被告が管理している別表<1>段に記載の各文書に記録された情報の開示を求める個人情報の開示請求権を有する。
3 原告らは、別表<1>段に記載の各公立学校に在籍していたものであるところ、原告甲野一郎(以下「原告一郎」という。)及び原告甲野二郎(以下「原告二郎」という。)は平成五年二月二二日、原告乙山春夫(以下「原告春夫」という。)、原告乙山夏夫(以下「原告夏夫」という。)及び原告乙山秋夫(以下「原告秋夫」という。)は平成五年二月一九日、原告丙川冬夫(以下「原告冬夫」という。)は平成五年二月一二日、いずれも、本件条例一二条一項に基づき、被告に対し、別表<1>段に記載の各公文書(以下、別表<1>段Gに記載の文書を「本件調査書」といい、別表<1>段のその余の文書を「本件指導要録」という。また、本件指導要録のうち、別表<1>段B及びFに記載の神戸市立学校の指導要録を「神戸市指導要録」といい、西宮市立学校の指導要録を「西宮市指導要録」という。)の開示を請求した。
本件調査書及び本件指導要録は、原告らの評価・判定に関する記録を、別表<2>欄のとおりの各欄に区分して記載する様式となっている。
4 本件条例によれば、被告は、個人情報ファイルに記録されている情報が、「個人の評価、診断、判定等に関するもので、本人に知らせないことが正当と認められるもの」(本件条例一二条二項二号)、あるいは、「開示することにより、公正かつ適正な行政執行が妨げられることが明らかなもの」(本件条例一二条二項三号)に該当する場合には、開示の請求を拒むことができるとされているところ、被告は、原告冬夫に対し、平成五年二月二四日、その余の原告らに対し、同年三月四日、本件指導要録及び本件調査書に記録された個人情報が、本件条例一二条二項二号及び三号に該当することを理由に、その開示請求に応じられない旨の決定(以下「本件処分」という。)をした。
5 原告らは、本件条例一九条一項に基づき、本件処分を不服とする異議申立てをしたので、被告は、平成五年六月一〇、本件条例一九条二項に基づき、西宮市個人情報保護審査会(以下「審査会」という。)に諮問を行った。
審査会は、平成六年五月九日、西宮市指導要録及び本件調査書については、非開示処分を取り消して全部開示するよう答申し、神戸市指導要録は全部非開示とするよう答申した。
6 ところが、被告は、平成六年一二月一三日付けの決定により、別表<2>段の○印を付した欄の記録に関して本件処分の一部を取り消し、別表<2>段の×印を付した欄の記録(以下「本件非開示部分」という。)に関する原告らの異議申立てを棄却した。
7 しかしながら、本件処分は、本件条例の非開示事由の解釈適用を誤った違法なものであるから、原告らは、平成六年一二月一三日付けの決定により一部取り消された後の本件処分の取消しを求める。
二 請求原因に対する認否
請求原因1ないし6の各事実は認めるが、同7は争う。
三 被告の主張
1 本件非開示部分の本件条例一二条二項二号該当性
(一) 指導要録は、生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を各学年を通じて記載し、継続的に適切な指導、教育を行うための基礎資料とするために作成されるものであるが、そのためには各教科学習の評価とともに出欠状況の記録や特別活動の記録、行動及び生活の記録等を教員が評価し、その評価をありのままに記載することが必要である。また調査書は、兵庫県公立高等学校における入学者選抜の資料として、中学校長からその生徒の入学志望校の校長宛に送付されるもので、高等学校における入学選抜の重要な資料の一つであるとともに、入学後の生徒の指導の参考にされる資料である。
(二) 指導要録や調査書に自らの評価や判断と異なる内容が記載されていた場合、特に教師の評価が消極的評価であった場合には、本人の自尊心が傷つけられ、意欲や向上心を失い、あるいは保護者又は児童、生徒本人が教師や学校に対して不信感を抱いて両者の信頼関係を損なうおそれがある。このことは、児童、生徒本人を混乱させ、その成長に有害であることはもちろん、その後の指導に支障を来し、教育現場にも混乱をもたらす。また、同様のことは、教育的配慮を伴った通知表の記載とありのままの評価を記載した指導要録、調査書の記載が必ずしも一致しないことからも生じる。特に調査書の場合、高校入試という重要な局面での問題であるから、本人に不安や動揺を与えて受験に悪影響を及ぼすことが考えられる。
調査書には身体の記録の「主な疾患及び特記事項」など、教育的配慮から本人に知らせない方が望ましい事項が記載されている場合がある。
2 本件非開示部分の本件条例一二条二項三号該当性
(一) 指導要録及び調査書の開示が一般化すると児童、生徒本人や保護者から反発、反論、釈明や訂正の要求が出てくることが予想される。その結果、教師がトラブルを避けようとして指導要録、調査書にありのままを記載せず、当たり障りのない記載で済ますという風潮になり、指導要録、調査書が形骸化する。特に調査書は、高等学校入学者選抜において五割以上の比重が置かれる重要な資料であって、代替、補足手段がないという点で指導要録以上に正確性が求められ形骸化させてはならないものである。
(二) また、調査書を開示すると、入学者選抜のための学力検査の直前の時期に教師が生徒や保護者らの対応に追われて本来の教育活動に支障を来し、教育現場が混乱する。
他の市町が調査書を開示しない状況の中で西宮市だけが調査書を開示することは、高等学校入学者選抜における教育行政の適正な執行を妨げ、行政の一体性を害し、その内容を知っている受験生とそうでない受験生がいることで不公平な選抜になる。
(三) また、神戸市では個人情報保護条例が制定されていないから、同市立小中学校在籍時の指導要録を開示すると、開示による弊害を避けようとして西宮市へ転入する児童、生徒の指導要録の記載が形骸化し、神戸市からの転入生について適切で正確な情報を得ることができなくなる。
四 被告の主張に対する原告らの反論
1 本件条例は、憲法一三条で保障された自己に関する情報をコントロールする権利を具体化するものであり、本件条例一二条は自己に関する情報は原則として開示しなければならない旨規定している。したがって、被告は本件指導要録の本件非開示部分及び本件調査書の記載が非開示事由に該当することが客観的かつ明白であることを主張立証しなければならない。しかるに、被告の主張は、本件非開示部分の開示によって一般的に生じる可能性のある一般的抽象的な危険、危惧をいうにすぎないから、主張自体失当である。
2 本件非開示部分の本件条例一二条二項二号該当性
(一) 指導要録や調査書に記録された内容は既に通知表や三者面談により児童、生徒や保護者に伝達されているはずであるし、事前に全く伝達されていない不利益事実や児童、生徒が自尊心を傷つけられ意欲や向上心を失うような事項を指導要録や調査書に記載することは許されない。
したがって、開示により被告が主張する信頼関係の破壊は生じない。また、自らの評価や判断と異なる評価がなされることは、通知表等を通じて評価が伝達される場合にも生じていることであり、指導要録や調査書の場合だけを取り立てて問題にする必要はない。
(二) 調査書を開示するか否かは一般的な制度の運用方法の問題であるのに対して、児童、生徒と教師との信頼関係は各児童、生徒と各教師との日常的な接触の中で醸成される個別的、流動的な問題であって両者は次元を異にし、その間に因果関係は存在しない。
被告の主張する教育現場の混乱とは、教師や学校側にとって指導がしづらくなるという行政側の不都合をいうものであり、本件非開示事由には該当しない。
仮に開示により児童、生徒と教師との信頼関係が破壊されることがあるとしても、そのような事態が生じるのは調査書に記録された評価内容と児童、生徒自身による自己評価との間に相違があり、しかも調査書に記録された評価内容が当該児童、生徒に対する消極的評価であり、かつその記載が児童、生徒にとって予想外であるという極めて稀な場合である。このように極めて稀な場合にしか生じない不利益を回避するより、開示により、事実と異なる事項が調査書に記載され、選抜の資料に用いられる不利益をなくす必要性がある。
(三) 児童、生徒本人が自己の判断で開示を求めているのであるから、児童、生徒が自尊心を傷つけられ意欲や向上心を喪失する、児童、生徒に不安や動揺を与えて受験に悪影響を及ぼす等の弊害は、開示を拒絶する理由にならないし、その後の指導や受験への影響が考えられない本件の場合には生じない。また、調査書には本人に知らせない方が望ましい事項が記載されているとする被告の主張は、親権者により開示請求がなされている本件の場合には当てはまらない。
3 本件非開示部分の本件条例一二条二項三号該当性
(一) 本来、児童、生徒に関する情報で重要なものは、通知表や進路指導等を通じて本人や保護者に伝達されており、それを指導要録、調査書に記載すれば足りるのであるから、それを開示しても記載の形骸化、教育現場の混乱の問題は生じない。また、指導要録は現在、長所を中心に記載されているのであるから、その形骸化が生じることはあり得ない。現に指導要録、調査書の開示を行っている自治体で記載の形骸化や教育現場の混乱が生じたとの報告はないし、通知表により児童、生徒の評価を伝達しているが、通知表の記載が形骸化するという事態は生じていない。
仮に形骸化が生じるとしても、非開示とすることによって生じている誤った情報に基づき指導、選抜が行われる、教師が指導の道具として調査書を利用するといった弊害に鑑みれば開示の効果は大きい。
(二) 調査書は高等学校入学者選抜の重要な資料として使用されるものであるから、その内容を開示して児童、生徒や保護者に確認、訂正の機会を与えるとともに生徒や保護者からの不満や不安に応えるとは重要な教育活動の一部であって、その事務の繁雑さをもって非開示理由とすることはできない。
進路指導に際し生徒や保護者の不安や不満に応えることは、現に行われているから、開示により現在の教師の負担を著しく超えるような混乱が生じるとは考えられないし、本件のように卒業後に開示請求を行う場合には混乱は生じない。
個人情報保護条例を有する兵庫県は、平成九年四月一日から調査書及び指導要録について部分開示を行い、将来的には全面開示する取扱方針を決定したから、西宮市だけが開示すると入学者選抜の公平を害するとする被告の主張は理由がない。むしろ、西宮市だけが開示しないことにより選抜の公平が損なわれることになる。
(三) 神戸市指導要録については、西宮市が管理している情報である以上、それを開示すべきかどうかは被告が独自に判断すればよいことであって、神戸市に個人情報保護条例が制定されていないことは、非開示事由とは何も関係がない。現に一部の自治体で開示を行っているが、行政の一体性が害されたとの報告はない。
理由
第一 請求原因1ないし6記載の事実は当事者間に争いがない。
第二 情報公開請求権について
原告らは、本件条例は、憲法一三条で保障された自己に関する情報をコントロールする権利を具体化するものであるから、被告は本件指導要録の本件非開示部分及び本件調査書の記載が本件非開示事由に該当することが客観的かつ明白であることを主張立証しなければならない旨主張する。
しかし、仮に憲法一三条により右権利が保障されているとしても、これはあくまで抽象的権利であるにすぎず、本件条例によりはじめて具体的な請求権として認められるものであり、どのような情報が開示請求の対象となるかは、右条例の趣旨、文言の解釈を通じて決せられるべき問題である。したがって、情報開示請求権が憲法上の権利であることを前提とする原告らの主張は採用できない。
第三 本件調査書について
一 〔証拠略〕によれば、以下の事実が認められる。
1 調査書は、学校教育法四九条、同法施行規則五四条の三、五九条一項に基づき、高等学校の入学選抜のための資料として、在学中の中学校の校長が作成し、その生徒が進学しようとする高等学校長に送付される文書である。
兵庫県教育委員会は、毎年「兵庫県公立高等学校入学者選抜方針」を決定し、この方針に基づき「兵庫県公立高等学校入学者選抜要綱」(以下「選抜要綱」という。)により選抜日程、選抜資料、選抜方法等を定めている。同委員会は、毎年一〇月の初旬から中旬にかけて、兵庫県内の全ての公立高等学校の校長及び進学担当者を集めて、選抜要綱についての説明会を行っている。選抜要綱には、調査書の記載要領も定められており、右説明会においてこの点に関する説明も行われる。
2 選抜要綱によれば、入学者選抜は、調査書その他必要な書類、学力検査の成績等を資料として行われる。その判定方法は、調査書の学習の評定の記録の第三学年の国語、社会、数学、理科、英語の五教科の評定の和を四倍した値と、必修教科の音楽、美術、保健体育、技術・家庭の四教科の評定の和を七・五倍した値との総和(総配点五〇〇点)を判定資料A、各教科の学習の評定の記録以外の諸記録を総合したものを判定資料B、学力検査(国語、社会、数学、理科及び英語の各教科一〇〇点、総配点五〇〇点)の結果を判定資料Cとし、判定資料AとCとを同等に取り扱い、合否を判定し、その際、判定資料Bは参考として用い、総合判定となるよう留意することとされている。具体的には、判定資料Bは、学業生活が送れるか、すなわち高等学校の教育課程が履修できるか、また特に優秀な点があるかなどを見るために用いられている。その際には、短所に注目するのではなく、主として長所に焦点を当てて合否が判定されている。
3 原告一郎及び同冬夫が高等学校入学者選抜を受検した平成四年度及び五年度当時、西宮、宝塚学区では総合選抜制度が採用されており、右選抜資料に基づき学区内の高等学校の総募集定員を満たすものを選び、次いで各高等学校募集定員の一〇パーセントについては、成績上位の者から順に志望を優先し、残りの九〇パーセントについては、住居を優先し、交通事情、特殊事情等を勘案して協議のうえ、各高等学校長が、それぞれの高等学校の合格者を決定することとされていた。
4 西宮、宝塚学区においては、学区内の高等学校校長を構成員として、入学者選抜事務の一切を行う酉宮・宝塚学区総合選抜管理委員会が設置され、同委員会は、学区内における統一的な募集要項を作成し、毎年一月下旬に学区内の中学校に対して説明会を行う。この説明会には、各中学校の校長及び進学担当者を集めて、入試事務を円滑に行うための留意事項等の説明が行われる。この際、調査書の記載につき、これまで中学校側から質問があった点や是非記載して欲しい点などについて具体的な記載方法が説明される。
5 調査書の記載は、二月の中旬から下旬にかけて、選抜要綱を受けて校長、教頭、第三学年の学年主任及び学級担任その他必要な教師をもって中学校ごとに組織された調査書作成委員会が行うこととされているが、実際の記入は学級担任教師が行い、その記載を他の教師や校長が点検する。調査書の高等学校への提出は、学力検査直前の三月二日から五日にかけて行われる。そして、法令上、明文の規定はないものの、調査書は、児童、生徒又は保護者等には公開しないという前提で記載されている。
6 本件調査書(氏名、生年月日及び学歴の身分事項欄を除く。)の記載事項は、別表G<2>段記載のとおりであり、選抜要綱や説明会における説明に基づいて記入されるが、右各記載項目に記載される内容は以下のようなものである。
(一) 「身体の記録」欄
この欄には、「検査の期日」、「視力」、「色覚」、「聴力」及び「主な疾患及び特記事項」の各欄が設けられており、平成四年度入学者選抜においては平成三年四月以降に、平成五年度入学者選抜においては平成四年四月以降に行われた検査結果を正確に記入することとされている。そして、「主な疾患及び特記事項」欄には、学校医の健康調査表等に基づき、眼疾、伝染性皮膚疾患、結核性疾患、心臓疾患、じん臓疾患、運動機能障害等について、それぞれの病名を記入し、精神疾患及び後遺症、既往症等で指導上配慮する必要があると思われる場合には、病名のほか、具体的にその程度なども記入することとされている。また、特記事項のない場合には、斜線が記入される。
(二) 「スポーツテスト」欄
この欄には、平成四年度入学者選抜においては平成三年五月以降に、平成五年度入学者選抜においては平成四年五月以降に実施したスポーツテストについて、文部省スポーツテストの基準に従い、各項目を二〇点満点としたその合計点のみが記載される。
ただし、体育科を志願する者及び中学校が運動部での「特別取扱い」を希望する者については、各種目の記録及び得点もあわせて記入し、このテストの一部又は全部を受けていない者については、その理由を「備考」欄に記入することとされている。
(三) 「出欠の記録」欄
この欄には、「欠席日数」欄と、「欠席等の主な理由」欄が設けられている。「欠席日数」欄には、各学年ごとの欠席日数(ただし、第三学年については一月二〇日までのもの)が記載される。「欠席等の主な理由」欄には、欠席頻度の多い病名や、三日以上連続して欠席した場合や出席停止を受けた場合は、その日数とその理由が記載される。そして、一〇日間以上断続的に欠席した場合の病名は、単なる風邪という記載だけでは足りず、具体的な病名の記載が要求される。また、欠席の理由が、不登校、登校拒否の場合には、その旨が記載される。
(四) 「特別活動等の記録」欄
この欄には、学級活動、生徒会活動、クラブ活動、学校行事への参加態度、生徒会、学級会の委員経験、部活動等や学校外における活動状況で顕著なものなど、特別活動等における生徒の活動状況について特記すべき事項及び所見が記載される。
そして、当該生徒が受検する高等学校において調査書の特別活動、部活動等における顕著な内容を評価して特別に取り扱うとされている場合において、中学校が、「特別扱い」を希望する場合には、その活動の記録、成績、意欲、適性等について具体的に朱書することとされている。
また、生徒の活動状況を総合的にみて、意欲を持って集団活動に参加し熱心に自己の役割を果たしたと認められる場合には「(1)活動の意欲」に、所属集団の活動の発展、向上に大いに寄与したと認められる場合には「(2)集団への寄与」に○印を付けることとされている。
(五) 「行動及び性格の記録」欄
この欄は、「基本的な生活習慣」等の項目が設けられた欄と「特記事項」欄に分かれている。「基本的な生活習慣」等の項目については、第三学年の分だけが記載され、本人の行動及び性格のうち、特に優れていると思われる項目の一つを選ぶか、又は、生徒個人の特徴を一層明らかにするため、新たに項目を設ける必要がある場合には、その項目を記入し、「所見」欄に○印を付けて、その具体的な事実を「特記事項」欄に記入することとされている。また、そのほかにも特に優れたところがあるときは、その具体的な事実を特記事項欄に記入することとされている。
(六) 「各教科の学習の評定の記録」欄
この欄には、国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭の必須科目及び英語等の選択科目の第一ないし第三学年の学習の評定を数字で記載する欄(数字欄)と「参考事項」欄が設けられている。
第一、第二学年の評定は、生徒指導要録に基づき、五ないし一の五段階とすることとされている。第三学年の評定は、第三学年の一月以降においても第一、第二学期の成績を充分に参考にして行うこととされている。そして、この場合、それぞれの教科を履修した生徒全員について、各教科ごとに、一〇(三パーセント)、九(四パーセント)、八(九パーセント)、七(一五パーセント)、六(一九パーセント)、五(一九パーセント)、四(一五パーセント)、三(九パーセント)、二(四パーセント)、一(三パーセント)の割合により一〇段階の相対評価によって順位を付けることとされている。そして、この評定は、第三学年の評定が調査書が一月以降の段階でのものであるのに対して、通知表が二学期の段階のものである点を除いては、通知表に記載されている評定と一致する。
「参考事項」欄には、成績の変動の著しいものについての所見や、特に優れている教科についての特記事項などを記入することとされている。
(七) 「その他の特記事項」欄
この欄には、進路に関する所見や、調査書の各項目に関して特に参考となる事項があれば、具体的に記入することとされている。
二 以上の認定事実に照らして検討する。
1 本件調査書の記載は、記載されるべき内容に照らして、次のように区分することができる。
(一) 本件調査書の「各教科の学習の評定の記録」欄の「参考事項」欄、「その他の特記事項」欄(以下「調査書<1>部分」という。)は、記載者が自分の言葉で当該生徒の性格、特徴、生活態度、活動の意欲及び適性等に関する全体的な評価を記載する部分であり、その内容は、生徒の人物評価にわたることが多いと推察され、記載者の観察力、洞察力、理解力により左右される主観的な要素を含むものである。
(二) 本件調査書の「特別活動等の記録」欄、「スポーツテスト」欄の「備考」欄及び「出欠の記録」欄の「欠席等の主な理由」欄(以下「調査書<2>部分」という。)は、生徒の委員経験や部活動、生徒が罹患した病名など客観的な事実が記載されることが多いものと思われるが、スポーツテストを受けていない理由は何か、長期欠席の理由が不登校、登校拒否と認められるかどうかという点を巡り記載者の主観的評価、判断が入る余地がある部分である。なお、「特別活動等の記録」欄には、単なる事実の記載部分と記載者の主観的評価にわたる部分とが存在するが、これを容易に分離することはできない。
(三) 本件調査書の「行動及び性格の記録」欄(以下「調査書<3>部分」という。)は、「基本的な生活習慣」等あらかじめ記載された項目のうち、最も優れたものに○印を付けるという点で類型化された「所見」欄と、教師が見出した具体的な「特記事項」欄から構成されており、やはり評価者の主観的評価が入り込む部分である。
(四) 本件調査書の「身体の記録」欄、「スポーツテスト」欄の「記録・得点」欄、「出欠の記録」欄の「欠席日数」欄及び「各教科の学習の評定の記録」欄の数字欄(以下「調査書<4>部分」という。)は、客観的、一義的に定まる数値が書き込まれる部分である。
なお、各教科の評定は、五段階又は一〇段階の相対評価により順位を付けるものとされているが、これはあらかじめ各段階ごとに一定の比率が定められており、評価者の観察力、洞察力、理解力により左右される主観的な要素は少なく、客観的な事実の記載であるといえる。
2 調査書<1>部分には、生徒の全体的な評価あるいは人物評価ともいい得るものが、マイナス面についてもありのままに記載されているのであるから、これを公開するとすれば、場合によっては、生徒が自尊心を傷つけられ、意欲や向上心を失い、あるいは教師や学校に対する不信感を抱いて、その後の指導に支障を来す可能性がある。また、生徒の様子が家庭と学校とでは異なることがあり、通知表等の記載とも必ずしも一致していないことからすれば、保護者又は生徒本人が、右評価等に対して反発や誤解をしたり、あるいは感情的になって、教師や学校との信頼関係を損なう場合があり得る。
さらに、こうした誤解や感情的反発から、教師や学校に対して逆恨みを抱き、トラブルが生じる可能性も否定できない。そして、このようなことから、調査書の全面的な公開を前提とした場合には、教師が右のような弊害に鑑み、マイナス面についてのありのままの記載をしなくなったり、あえて特記事項を記載しないようになって、調査書の内容が形骸化、空洞化し、適切な指導教育、高等学校入学者選抜の適正な資料としての機能を果たさなくなるおそれがあることも否定できない。
調査書<2>部分についても、前記認定のとおり記載者の主観的評価が入り込む可能性は否定できず、かつ、右判断には生徒及び保護者が過剰に反応するおそれがある微妙な問題が含まれているから、これを開示することとすると、調査書<1>部分を開示した場合と同様の弊害が生じる可能性は否定できない。
調査書<3>部分についても、あらかじめ記載された項目を選択する点で類型化されているが、教師の主観的評価によるものであるうえ、教師が新たに項目を設けてその具体的理由が記入される場合もあり、やはり評価者の観察力、洞察力、理解力により左右されるという点で、調査書<1>部分と同様のことがいえる。
したがって、調査書<1>ないし<3>部分の個人情報は、これを開示することによって適正な行政の執行を妨げるものであって、本件条例一二条二項三号の非開示事由があるといわなければならない。
3 これに対し、調査書<4>部分は、客観的、一義的に定まる数値を記載するものであるから、これを開示したとしても、その記載内容が形骸化、空洞化するおそれや生徒本人が自尊心を傷つけられて意欲や向上心を失ったり、保護者や生徒本人と教師、学校との間の信頼関係を損なうおそれを認めることはできず、本件条例一二条二項二号又は三号の非開示事由があるとはいえない。
したがって、本件処分のうち、右部分を非開示とする部分は取消しを免れない。
三 原告らは、調査書の開示により誤記の訂正や調査書を生徒指導の道具とする弊害の是正に資する旨主張する。
しかし、既に認定したように調査書は、その記載内容について複数回にわたって点検が行われているから、恣意的な記載や誤記が存在する可能性は低いものと考えられる。また、調査書<1>ないし<3>部分は、記載者の観察力、洞察力、理解力により左右される主観的評価を含むものであり、そもそも何が誤りであるかが明白であるとはいえない。したがって、これを開示のうえ、記載事項について議論することによって記載内容の当否について異なる認識を有していた者が合意に達するということは期待できないのが通常である。よって、原告の右主張は採用できない。
第四 神戸市指導要録の取扱いについて
一 〔証拠略〕によれば、以下の事実が認められる。
1 指導要録は、学校教育法施行規則により学校長に作成が義務付けられた文書であり(同規則一二条の三第一項)、外部に対する学籍の証明の原簿としての機能と指導の記録としての機能を合わせ持つもので、学籍の記録と学習の記録や指導内容の記録等が記載されている。指導要録は、児童、生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を各学年を通じて記録することにより、成長過程にある児童、生徒を総合的に把握し、継続的な指導教育を行うための基礎資料として作成され、進学・転学の際にはその抄本又は写しが進学先に送付され(同規則一二条の三第二項、第三項)、また当該児童、生徒の担任教師との間で引き継がれる。したがって、指導要録は教師の間で使用される内部文書としての性格が強いので、法令上、明文の規定はないものの、指導要録は、児童、生徒又は保護者等には公開しないという前提で記載されている。
2 各学級担任教師が、他の教科担任の教師等から資料を収集して年度末に記載した指導要録の原案は、その後、各学年の担任教師二、三名による誤記や記載内容の検討、教務主任を中心とする教務部の教師の点検を経て、学校長による最後の点検がされ記載内容が確定する。
3 指導要録を適切な指導教育のための資料とするには、所定の事項について、これを実際に記載する教師が、様々な視点から児童、生徒を観察するなどして情報を収集し、教師としての専門的見地から総合的に判断して、できる限り公正かつ客観的に、自らの言葉で、児童、生徒のプラス面、マイナス面を問わず、ありのまま記載することが必要とされ、西宮市においても、被告が作成した手引きを配布して、指導要録の記載要領、記載に当たっての観点、記載内容等が周知徹底され、また、これについての研修を行うなどされている。
4 学校における児童、生徒の様子や評価等を児童、生徒本人又は保護者に知らしめるものとしては通知表等があるが、通知表は、児童、生徒本人又は保護者がこれを目にすることを前提に、児童、生徒に向上心や意欲を持たせるような教育的配慮に基づきその記載内容や表現方法が工夫されている。したがって、指導要録の記載内容や表現は、必ずしも、通知表の記載と同じではない。
5 指導要録の記載項目・様式は、文部省の各都道府県教育委員会に対する通知及び各都道府県教育委員会の各市町村教育委員会に対する助言・指導に基づき、各市町村教育委員会が決定する。
二 右認定事実によれば、神戸市指導要録と西宮市指導要録とでは、文書の作成目的は同じであり、その記載に当たっての観点、記載内容もさほどの違いはないのであって、神戸市立学校において作成する指導要録の内容が、個人情報保護条例のある自治体へ転出予定の児童、生徒とそうでない児童、生徒とで差異が生じるおそれがあると考えることはできず、本件条例一二条二項二号及び三号の適用に当たって、神戸市指導要録についてだけ西宮市指導要録と異なる取扱いをしなければならない合理的な理由を見出すことはできない。
したがって、一般的に神戸市指導要録の記載全部が当然に本件条例一二条二項二号及び三号の非開示事由に該当するとすることはできない。
三 〔証拠略〕によれば、被告は、神戸市指導要録と同じ様式の西宮市指導要録については、別表A及びEの各<2>段○印の部分に関する情報を、客観的事実に当たり、既に本人、保護者に何らかの方法により知らされている事実であり、非開示事由に該当しないとして、右情報を開示するとの判断を行っているのであり、神戸市指導要録の当該部分(すなわち、別表B及びFの各<2>段の学籍に関する記録、指導に関する記録中の「各教科学習の記録」欄の「評定」欄、「特別活動の記録」欄、「行動および性格の記録」欄の「評定」欄、「出欠の記録」欄、別表B<2>段の指導に関する記録中の「各教科の学習の記録」欄の「観点別学習状況」欄及び別表F<2>段の指導に関する記録中の「各教科の学習の記録」欄の「観点別学習記録」欄、「標準検査の記録」欄の各情報)についても同様に非開示事由がないものと認められるから、その部分を非開示とした本件処分は取り消されなければならない。
第五 本件指導要録の各部分の非開示事由該当性について
一 〔証拠略〕によれば、以下の事実が認められる。
1 本件指導要録の様式については、昭和五五年二月二九日及び平成三年三月二〇日に改訂された。本件指導要録のうち、平成三年改訂以前の小学校児童指導要録の記載事項は、別表A及びBの各<2>段記載のとおりであり、改訂後の記載事項は別表C<2>段記載のとおりである。右改訂された主な部分は、記載事項として新たに「指導上参考となる諸事項」欄が設けられたことと、記載内容が生徒の長所を積極的に見出しそれを生かすようになったほかは殆ど変わりがない。
また、本件指導要録のうち中学校生徒指導要録の昭和五五年改訂以前の記載事項は、別表D<2>段記載のとおりであり、改訂後は別表E及びFの各<2>段記載のとおりである。改訂された主な部分は、「各教科の学習の記録」欄の「所見」欄が「観点別学習記録」欄に、同「備考」欄が「所見」欄に変更されたが、その記載内容には殆ど変わりがない。
2 「各教科の学習の記録」欄の「所見」欄及び「備考」欄(以下「教科所見欄」という。)
この欄には、各教科の学習全体を通じて見られる児童、生徒の特徴、学習に対する努力や意欲、学習態度等の学習状況、学習の進歩が著しい教科がある場合の状況、学習に影響を及ぼす健康状況や児童、生徒の履修困難な教科について特別の措置を取った場合の状況など、各教科の学習について総合的に見た場合の児童、生徒の特徴や指導上留意すべき点が記載される。この場合、児童、生徒個人として優れている点又は劣っている点など各教科の学習全体を通して見られる児童、生徒の特徴を記載するため、記載者の観察力、洞察力、理解力により左右される主観的要素が入り込むことは避けられない。
なお、平成四年度から採用された指導要録(本件では別表C)においては、児童の長所を取り上げることが基本となるように留意することとされているが、必ず長所のみを記載することにはされておらず、適切な指導教育のための資料という指導要録の目的からは、やはり児童の短所について記載しなければならない場合も当然ありうる。
3 「行動および生活の記録」欄の「所見」欄及び「行動の記録」欄の「所見」欄(以下「行動所見欄」という。)
この欄には、全体的にとらえた児童、生徒の特徴、指導上特に留意する必要があると認められる児童、生徒の健康状況及び配慮事項等、行動の状況について総合的に見た場合の児童、生徒の特徴及び指導上留意すべき事項が記載されるが、その記載は、その性質上、記載者が自分の言葉で記載した当該児童、生徒の特徴や指導上留意すべき事項等の主観的評価を含むことが避けられない。
なお、この欄についても、平成四年度から採用された指導要録(本件では別表C)においては、児童の長所を取り上げることが基本となるように留意することとされているが、教科所見欄の場合と同様に児童の短所について記載しなければならない場合も当然ありうる。
4 「標準検査の記録」欄
この欄には、「学年」、「検査年月日」、「検査の名称・結果」の欄があり、標準化された知能検査等で、妥当性、信頼性の高いものを正確に実施した場合に記入するが、必ずしも実施したすべての標準検査の結果を記入する必要はなく、生徒の理解、また教育上重要な資料であるもののみを記入することとされている。そして、検査結果は、指数、偏差値、百分段階点等の一般的な表示で記入し、備考として、検査時の条件、結果の分析的考察等、検査結果を理解し利用するうえに必要な事項を具体的に記入することとされている。
二 右認定事実によれば、教科所見欄は調査書<1>部分と、行動所見欄は調査書<3>部分と同様の部分であり、特に指導要録が継続的に適切な指導教育を行うための基礎資料であることに鑑みると、これらの欄の個人情報は、既に説示にしたところと同様に、本件条例一二条二項三号の非開示事由が存在するというべきである。
これに対し、標準検査記録は、調査書<4>部分と同様の部分であり、既に説示にしたところと同様に、非開示事由の存在を肯定することはできず、この部分を非開示とした本件処分は取消しを免れない。
三 なお、原告らは、原告ら代理人が大阪府、兵庫県等の公立小中高等学校の教師を対象に行った指導要録に関するアンケート結果(〔証拠略〕)によれば、指導要録は余り利用されていないから、これを開示しても形骸化が生じない旨主張する。
しかし、右アンケートは僅か七三名の教師を対象に行われたものであり、その結果を一般化することはできないうえ、全日本教職員連盟が五二六名の小中高等学校の教師を対象に行ったアンケート結果(〔証拠略〕)によれば、むしろ六割の教師が開示によりその記載内容に影響を及ぼす旨回答していることに鑑みれば、原告らの右主張は採用できない。
第六 結論
以上によれば、原告らの本件請求は、主文の限度で理由があるから認容することとし、その余の部分は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六一条、六四条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 將積良子 裁判官 徳田園恵 桃崎剛)
(別表) 下段の○印は開示部分、×は非開示部分
開示請求者・開示を求めた個人情報が記録された公文書(<1>段) 上記公文書の記録事項の区分様式(<2>段)
A 原告甲野一郎・西宮市立平木小学校及び西宮市立瓦木小学校在籍中の同原告の小学校児童指導要録 原告甲野二郎・西宮市立瓦木小学校在籍中の同原告の小学校児童指導要録 学籍に関する記録 ○
指導に関する記録
「各教科の学習の記録」欄の「評定」欄 ○
同「観点別学習状況」欄 ○
同「所見」欄 ×
「特別活動の記録」欄 ○
「行動および性格の記録」欄の「評定」欄 ○
同「所見」欄 ×
「出欠の記録」欄 ○
B 原告甲野二郎・神戸市立丸山小学校在籍中の同原告の小学校児童指導要録 学籍に関する記録 ×
指導に関する記録
「各教科の学習の記録」欄の「評定」欄 ×
同「観点別学習状況」欄 ×
同「所見」欄 ×
「特別活動の記録」欄 ×
「行動および性格の記録」欄の「評定」欄 ×
同「所見」欄 ×
「出欠の記録」欄 ×
C 原告甲野二郎・西宮市立樋ノ口小学校に在籍中の同原告の小学校児童指導要録 学籍に関する記録 ○
指導に関する要録
「各教科の学習の記録」欄の「評定」欄 ○
同欄の「観点別学習状況」欄 ○
同「所見」欄 ×
「特別活動の記録」欄 ○
「行動の記録」欄の「行動の状況」欄 ○
同「所見」欄 ×
「指導上参考となる諸事項」欄 ○
「出欠の記録」欄 ○
D 原告乙山春夫・西宮市立苦楽園中学校一年生に在籍中の同原告の中学校生徒指導要録 学籍に関する記録 ○
指導に関する記録
「各教科の学習の記録」欄の「評定」欄 ○
同「所見」欄 ○
同「備考」欄 ×
「特別活動の記録」欄 ○
「行動および性格の記録」欄の「評価」欄 ○
同「所見」欄 ×
「標準検査の記録」欄 ×
「出欠の記録」欄 ○
E 原告甲野一郎・西宮市立深津中学校、西宮市立甲武中学校に在籍中の同原告の中学校生徒指導要録 原告乙山春夫・西宮市立苦楽園中学校二、三年生に在籍中の同原告の中学校生徒指導要録 原告乙山夏夫・西宮市立苦楽園中学校に在籍中の同原告の中学校生徒指導要録 原告乙山秋夫・西宮市立苦楽園中学校に在籍中の同原告の中学校生徒指導要録 学籍に関する記録 ○
指導に関する記録
「各教科の学習の記録」欄の「評定」欄 ○
同「観点別学習記録」欄 ○
同「所見」欄 ×
「特別活動の記録」欄 ○
「行動および性格の記録」欄の「評定」欄 ○
同「所見」欄 ×
「標準検査の記録」欄 ×
「出欠の記録」欄 ○
F 原告甲野一郎・神戸市立雲雀丘中学校に在籍時の同原告の中学校生徒指導要録 学籍に関する記録 ×
指導に関する記録
「各教科の学習の記録」欄の「評定」欄 ×
同「観点別学習記録」欄 ×
同「所見」欄 ×
「特別活動の記録」欄 ×
「行動および性格の記録」欄の「評定」欄 ×
同「所見」欄 ×
「標準検査の記録」欄 ×
「出欠の記録」欄 ×
G 原告甲野一郎・平成四年度兵庫県公立高等学校入学者選抜要綱に基づく同原告の調査書 原告丙川冬夫・平成五年度兵庫県公立高等学校入学者選抜要綱に基づく同原告の調査書 「身体の記録」欄 ×
「スポーツテスト」欄の「記録・得点」欄 ×
同「備考」欄 ×
「出欠の記録」欄の「欠席日数」欄 ×
同「欠席等の主な理由」欄 ×
「特別活動等の記録」欄 ×
「行動及び性格の記録」欄の「所見」欄 ×
同「特記事項」欄 ×
「各教科の学習の評定の記録」欄の数字欄 ×
同「参考事項」欄 ×
「その他の特記事項」欄 ×
参照条文
◆学校教育法施行規則(昭和二二年五月二三日文部省令第一一号)
第十二条の三 校長は、その学校に在学する児童等の指導要録(学校教育法施行令第三十一条に規定する児童等の学習及び健康の状況を記録した書類の原本をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。
<2> 校長は、児童等が進学した場合においては、その作成に係る当該児童等の指導要録の抄本又は写しを作成し、これを進学先の校長に送付しなければならない。
<3> 校長は、児童等が転学した場合においては、その作成に係る当該児童等の指導要録の写しを作成し、その写し(転学してきた児童等については転学により送付を受けた指導要録の写しを含む。)及び前項の抄本又は写しを転学先の校長に送付しなければならない。
第五十四条の三 校長は、中学校卒業後、高等学校、高等専門学校その他の学校に進学しようとする生徒のある場合には、調査書その他必要な書類をその生徒の進学しようとする学校の校長あて送付しなければならない。ただし、第五十九条第三項(第七十三条の十六第五項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、調査書を入学者の選抜のための資料としない場合は、調査書の送付を要しない。
第五十九条 高等学校の入学は、第五十四条の三の規定により送付された調査書その他必要な書類、選抜のための学力検査(以下本条中「学力検査」という。)の成績等を資料として行う入学者の選抜に基づいて、校長が、これを許可する。
◆西宮市個人情報保護条例(昭和六三年条例第二号)
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 個人情報 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され得るものをいう。
二 個人情報の収集等 個人情報の収集、保管および利用をいう。
三 実施機関 西宮市公文書公開条例(昭和六一年西宮市条例第二二号。以下「公文書公開条例」という。)第二条第一号に定めるものをいう。
四 電子計算組織 定められた一連の処理手順に従って事務を自動的に処理する電子的機器の組織で、実施機関が管理するものをいう。
五 個人情報ファイル 公文書(公文書公開条例が適用される公文書をいう。)または磁気ファイル等(磁気テープ等に記録され、電子計算組織により処理されるものをいう。以下同じ。)であって、氏名、番号等により特定個人を検索することが可能な個人情報の集合物をいう。
(自己情報の開示請求)
第一二条 何人も、実施機関に対し、第九条の規定による届出に係る個人情報ファイルに記録されている自己に関する個人情報(以下「自己情報」という。)の開示を請求することができる。
2 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する自己情報については、開示の請求を拒むことができる。
一 法令または条例の規定により開示することができないもの
二 個人の評価、診断、判定等に関するもので、本人に知らせないことが正当であると認められるもの
三 開示することにより、公正かつ適正な行政執行が妨げられることが明らかなもの
四 実施機関が審議会の意見を聴いて公益上特に必要があると認めたもの
◆西宮市公文書公開条例(昭和六一年条例第二二号>
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 実施機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、公平委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会、水道事業管理者、消防長及び議会をいう。
二 公文書 実施機関が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び写真(マイクロフィルムを含む。)で、決裁又は供覧等の手続を終了し、実施機関において管理しているものをいう。
三 公文書の公開 実施機関が公文書を閲覧に供し、又はその写しを交付することをいう。